【飲食店向け】マニュアルの作り方を解説!
飲食店のマニュアルを作成しようと思っても、どのように作ればいいか分からないという方は多いのではないでしょうか。また、マニュアルを作成してみたはいいものの、業務効率が上がらないとお悩みの方もいるのではないでしょうか。この記事では飲食店におけるマニュアルの役割や作り方についてまとめました。質の良いマニュアルを作り、業務改善に役立てましょう。
Contents
マニュアルの役割
そもそも飲食店がマニュアルを用意するのはなぜでしょうか。理由は様々ありますが、ひとつには各店舗の接客等の方法を従業員に教育するためというのがあげられます。ここからはマニュアルが持つ三つの主な役割を解説します。
業務品質の統一
飲食店においてマニュアルを作成することは業務品質を一定に保つことに繋がります。作業を言語化することで、業務の共通認識を作ることや理解が深まることに加え、マニュアルに基づいた説明になるため、教えた人によって内容が異なることを防ぐことができます。誰がやっても同様のサービスができることは、飲食店が繁盛していくうえでとても大切です。
教育コストの削減
マニュアルを整備することで、新人研修等にかかる教育コストを削減することができます。飲食店で新人研修を行う際は、業務と指導を並行して行うため、指導者の負担が増えてしまう傾向があります。マニュアルがある場合、スタッフ全員に業務フローを共有することができるため、指導する側だけでなく指導される側の負担も減らすことができるでしょう。
復習の効率化
業務内容が多いと一度で覚えることは難しいです。しかし、飲食店の営業時間中では覚えきれない部分もあるでしょう。一度マニュアルを作成すれば営業時間外でも確認することが可能ですし、何度も同じような質問をしなくて済みます。
マニュアルの種類
飲食店のマニュアルには大きく分けて四種類あります。それぞれの特徴について見ていきましょう。
基本マニュアル
基本マニュアルには店舗のコンセプトや経営理念、販売戦略などを盛り込みます。その他三つのマニュアルを作成するためにも、基本マニュアルが軸となります。もう既にマニュアルを作成している場合は、基本マニュアルが形だけのものになっていないか確認しましょう。
業務マニュアル
店内での具体的な仕事内容や流れを示したものが業務フローマニュアルです。スタッフの役割や責任の所在を明らかにし、判断に迷った際は誰に聞けばよいのかを具体的に明記しておくと良いでしょう。業務マニュアルは記載内容が細分化できるため、以下の内容を記載しておくと分かりやすいでしょう。
開店業務、閉店業務
お店を開く時間や照明をつけるタイミング、閉店する際にフライヤーのスイッチを切るタイミングなど、業務の詳細を記載しましょう。
清掃業務
清掃に関する業務に関する記載をします。テーブルを拭く際にはどのタオルを使えばいいのかやゴミの分別はどうするのかについてなど記載しましょう。
キッチン業務
調理工程や皿の洗い方などを記載します。同じ量や品質を提供するために細かく記載し、スタッフ同士の連携についても記載しておくと良いでしょう。
接客フロー
お客様が来店された際の挨拶の仕方や注文を伺うタイミングなどを明記しましょう。予約などで電話対応する店舗の場合は話す順番や内容を明記しておくと、まだ慣れていないスタッフでも予約をとることができます。
接客マニュアル
接客においてもスタッフによって品質が変わってはいけません。接客マニュアル作成において注意すべき項目をまとめましたので参考にしてください。
接客における心構えと店舗のルール
接客マニュアルを作成するうえで重要なのが、基本となる心構えを明記することです。どんな時でも顧客の立場になり、動く必要があるという旨を記載しましょう。
接客時の身だしなみ
働くうえでどのような身だしなみが適切であるか細かく明記しましょう。髪型や爪、ひげやネイルなどの基準を明記し、スタッフ間で共有することで意思の統一ができ、顧客に不快に思われることを防ぐことができます。
正しい敬語や接客用語
接客用語もマニュアル化しておくと良いでしょう。接客する際の言葉遣いは非常に重要です。年齢によっては敬語の扱いに慣れていない可能性もあるため、正しい敬語や接客に必要な言葉遣いの例を記載しましょう。
例
よろしかったでしょうか → よろしいでしょうか
1000円ちょうどお預かりします → 1000円ちょうど頂きます
緊急時のマニュアル
飲食店ではトラブルが発生することも多く、突然の出来事に対応できるように緊急時のマニュアルを用意しておくと良いでしょう。クレーム、スタッフのミスなどの構想外の出来事の他に、店長の不在時や災害時のとるべき行動も記載します。事前にマニュアルを作成する場合、予定していない出来事の対応を説明するのはとても難しいです。そのため、常に更新していく認識を持ち、緊急時の出来事をリストアップすると良いでしょう。
マニュアルの作り方
マニュアルを作成する際、単純に業務内容を羅列しただけのものになってしまうと業務効率アップや効率的な教育は望めないでしょう。飲食店のマニュアルを作成する際に、いくつか注意点があります。ここではその注意点について説明します。
目的を明確にする
最初に行うべき項目は目的を明確にすることです。このマニュアルは何を目的に作るのかというのをはっきりさせましょう。ここで役に立つのが「5W2H」の考え方で「誰が(Who)」「何を(What)」「いつ(When)」「どこで(where)」「なぜ(Why)」「どのように(How)」「どれくらい(How Much)」の7項目を明確にすることで目的も定まってきます。
店のルールを明確にする
店独自のルールをマニュアルに明記する必要があります。 シフトの交代での引継ぎ事項や、暗黙のルールなどは漏れなく記載しましょう。
業務を書き出す
開店から閉店までの業務フローを書き出し、作業順に並べて記載しましょう。店の習慣になっている小さな業務まで記載することで質の高いマニュアルを作ることができます。実際に働いている従業員から聞くのが良いでしょう。
業務の評価基準(合格ライン)を決める
それぞれの業務の合格ラインを決めておくことで、スタッフによってバラバラなクオリティにならず、一定の基準をクリアしたサービスの提供が可能になります。業務ごとに評価基準を明確にしましょう。開店業務では開店5分前に全ての業務を終わらせるといった内容や、仕込みの場合は写真付きで説明書きをすることで、全スタッフが合格ラインを共有でき、均一なクオリティを維持することができます。
スタッフからのフィードバックをもらう
マニュアルがある程度形になったら、スタッフに見てもらいましょう。業務の知識があるスタッフと乏しいスタッフ両方に見てもらうことで足りない部分や分かりにくいポイントを洗い出すことができます。
フィードバックを元に修正する
スタッフから言われた部分を直すことも大切ですが、随時改善を行う必要があります。さらに、改善した項目をスタッフに見せることでさらに新たな改善が見込めるかもしれません。
活用方法
一度マニュアルを作ったのはいいものの、活用できなければ意味がありません。ここではマニュアルを活用するために抑えておきたいポイントをまとめましたので参考にしてください。
マニュアルの置き場所を決める
マニュアルの置き場所を決めることで、全スタッフが分からないことがあったときにすぐマニュアルを確認することができます。置き場所はホールであればレジカウンターの棚、キッチンであれば冷蔵庫の横に設置しておくなど、一定の場所に統一すれば、探す時間を取られることはありません。いつでも確認できることがポイントですので、紙で共有することも大切ですが、Webに公開する方法やLINEのnote機能を使って共有することも可能です。他にも方法がありますので検討すると良いでしょう。
現場の意見を取り入れる
現場の意見を聞くことで効率的にマニュアルを改善することができます。特に管理者がオーナーの場合、現場にいないこともありますので、店舗に行ってスタッフの様子を見るなどして、マニュアルがきちんと使われているか確認しましょう。
定期的に見直す
月に一回、年に四回など期間を明確にして、見直すと良いでしょう。特に開店したばかりの店舗はスタッフの教育等と並行して、見直すと次回からの新人研修を効率的に進めることが可能です。開店してからある程度経っている店舗でも定期的に見直すことで更なる業務の改善が見込めるでしょう。
まとめ
- マニュアルを作成することで、業務品質の統一、教育コストの削減、復習の効率化を図ることができる
- 基本マニュアル、業務マニュアル、接客マニュアル、緊急時のマニュアルの四種類のマニュアルを作成する必要がある
- マニュアルを作成する際は、目的を明確にする、業務の評価基準を決めるといったポイントを抑える
- 活用するにあたって、マニュアルの置き場を決め、定期的に見直すことが必要
飲食店のマニュアルは現場で働くスタッフの意見を取り入れ、定期的に改善していくことが大切です。また、スタッフがアイデアを出し合うことで、店にマッチしたマニュアル作成をすることが可能です。マニュアルを作ることで業務が効率化されるので検討してみると良いでしょう。