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店内BGMの効果とは?サブスクの音楽は使ってもよい?

この記事を書いた人レスコートマガジン編集部

店舗のBGMで何を流そうか悩んでいる飲食店経営者は多いと思いますが、ご自身でお使いのアプリから流そうとはしていませんよね?もし、使っている場合、著作権を侵害したとして、多額の賠償金を請求される可能性があります。そのようなことがないように、この記事を読んでBGMについて理解しましょう。

飲食店がBGMを流す理由

まず、多くの飲食店でBGMがつかわれているのには理由があります。それはBGMを流すことで得られる三つの効果が飲食店を経営する上で重要な役割を持っているからです。具体的にはどのような効果があるのか見ていきましょう。

マスキング効果

マスキング効果とは、ある周波数の音で雑音などの別の音を聞き取りにくくする効果のこと。周辺を通る車の音や、厨房で作業している音、隣の席の会話などを覆い隠してくれる効果を指します。周辺の雑音を覆い隠すことによって、お客さまに快適な居心地を感じていただくことができます。

感情誘導効果

感情誘導効果とはお客様の気持ちを動かす効果のことです。店内BGMによって人が持つ潜在意識に働きかけることができ、目的の応じた行動を促すことが可能。例えば、長い時間をかけてゆったりできる空間づくりをするのに役立ちます。このようにお客様の感情に働きかけることで、目的に応じた行動をとらせることが可能です。

イメージ誘導効果

店内BGMには、そのお店の雰囲気を演出する効果をもたらすことができます。同じような商品を提供したとしても、お店によって感じ取れる雰囲気は同じではありません。店内の雰囲気に特徴を持たせるための手段として、BGMが用いられます。そのお店が作り出したい空間に適したBGMを流すことによって理想のお店を演出することができるでしょう。

BGMの種類と特徴

このようにBGMには三つの効果があることが分かりました。それではさらに理想のお店を演出するためにはどのようにしたらよいでしょうか。それはコンセプトに合わせたジャンルのBGMを使用することです。ここではジャンルごとの特徴や店舗の適性を見ていきましょう。

クラシック

クラシックは様々な音楽ジャンルが存在し、多彩で繊細な音色が特徴的な音楽です。その豊かな音楽性によって上品さや高級感を演出することができるでしょう。そのため、高級な和食やイタリアンなどで利用されることが多いです。

ジャズ

ジャズは戦いの歴史を生き抜いた黒人たちの熱いスピリッツと西洋音楽が混ざりあった結果、今のような独特なリズム感やグルーヴ感が作り上げられました。精巧なリズム変化によって飽きにくく、適度な緊張感とリラックス感を生み出しています。その結果、カフェやバーはもちろん、最近ではラーメン屋や和食の店でもジャズのBGMが使用されるなど、幅広い業種のさまざまなシーンで利用されているジャンルとなっています。

J‐POP

J-POPは日本で制作されたポピュラー音楽のことで、耳なじみのある曲も多く、ずっと聞いていたくなる人も多いのではないでしょうか。客層やトレンドに合わせた選曲をすることで、お客様を惹きつけることができるため、長時間滞在させたいときに効果的です。老若男女が訪れる大衆居酒屋などで良く使用されるジャンルとなっています。

BGMと著作権制度の仕組み

自分のお店にはどんなジャンルが良いか分かったと思います。今すぐ、BGMをかけようとした方もいるかもしれませんが、楽曲には著作権がついて回ることを忘れてはいけません。まずは著作権制度の仕組みや罰則について見ていきましょう。

著作権を侵害した場合の罰則

まず、音楽の営利目的での無断利用は著作権の侵害にあたります。仮に、JASRAC(日本音楽著作権協会)の管理している楽曲を許諾なく、BGMを流した場合、民事や刑事から与えられる様々な罰則を受けなければなりません。民事上の請求は名誉回復措置や損害賠償の請求、刑事上の罰則は5〜10年以下の懲役か500〜1,000万円以下の罰金、もしくはその両方が科せられる場合も。

飲食店のBGMは営利目的扱い

ここで気を付けなければならないのは、購入したCDを流す場合も営利目的とみなされ、許可なく無断で使用した場合には著作権侵害になるということです。これはサブスクなどの音楽配信サービスも同様。著作権のなかでも「演奏権」という権利があります。演奏権とは公衆に対して音楽を演奏する、また公衆に聞かせることを目的としてCDやスマホなどの端末から、音楽を再生する権利の専有を表すものです。利用場所や用途に合わせてJASRACなどの著作権管理団体に使用料を払わなければなりません。

著作権侵害にならずに飲食店のBGMを流すためには

このような複雑な仕組みがあるのにもかかわらず、多くの飲食店ではBGMを流すことができています。どのような取り組みをすればBGMを流すことができるのでしょうか。以下にその取り組みを示しましたので、参考にしてください。

著作権管理団体に申し込む

市販のCDはJASRACと直接契約をすればそのまま流すことが可能。契約するためにはJASRACのHPから申し込む必要があります。ただし、好きな楽曲を集めてCDに焼いて、お店で流す場合は複製権および著作隣接権の手続きが必要となります。著作権はJASRACなどの著作権管理団体が集中管理していますが、著作隣接権はそれぞれのレコード会社が持っていることが多いです。そのため、個別で連絡し契約をしなければなりません。さらに、前述のとおりApple Musicなどの音楽配信サービスで購入した楽曲も使うことができません。もし個別で連絡するとなると、かなりの時間を必要としますが、契約することができたら自分好みのBGMを流すことが可能です。

店舗向けBGM配信サービスを利用する

著作権管理団体と直接契約する以外にも、店舗向けの音楽配信サービスを利用することで著作権問題をクリアすることができます。このようなサービスは事業所側が著作権管理団体と契約を結んでいるため、利用者側は著作権処理を行う必要がありません。中でも広く利用されているのが、有線放送です。専用の危機をケーブルや衛星放送、光回線などに繋ぐことで音楽を流すシステムで『USEN』や『キャンシステム』、『スターダム』といったサービスがあります。ジャンルごとに分けられているため、いちいち選曲することなく流すことが可能。

テレビやラジオをリアルタイムに放送する

飲食店などでテレビやラジオを放送することでBGMとしている飲食店もあります。テレビやラジオを使用するメリットとしては著作権問題が発生しないため、面倒な手続きをする必要がありません。これは各放送局がJASRACとの年間契約を結んで使用しているため、音楽を含む放送であっても問題ないのです。

著作権フリーの音楽を流す

著作権フリーの音源はテレビやラジオの放送と同じように著作権処理をする必要がありません。フリーBGMやフリー音楽素材は、CDやダウンロード音源として販売や無料配布がなされています。そして、余計なイメージを持たれにくいというメリットがあります。例えば、特定のアーティストに対して悪いイメージを持っているお客様がいるとします。そのお客様にとって嫌いなアーティストの音楽が店内で流れてしまうと、お店自体の印象を悪くしてしまう場合があります。このようなことが起きるのはレアケースですが、BGMはあくまで空間を演出するアイテムの一つであると考えると、イメージとして残す必要がないと考える方もいらっしゃるでしょう。その場合は著作権フリーの音楽を流すと良いかもしれませんね。

まとめ

  • BGMにはマスキング効果、感情誘導効果、イメージ誘導効果の三つの効果がある
  • クラシック、ジャズ、J‐POP三種類があり、店のコンセプトに合わせて決める
  • 著作権侵害をした場合、民事上の請求は名誉回復措置や損害賠償の請求、刑事上の罰則は5〜10年以下の懲役か500〜1,000万円以下の罰金、もしくはその両方が科せられる場合も。
  • 著作権を侵害せずに音楽を流すためには、個人で契約を結ぶ必要もあるが、音楽配信サービスの利用、著作権フリーの音楽を流すなどの方法をとる場合は手間をかけずにBGMを流すことができる

飲食店でBGMを流すには列記とした目的があります。しかし適切な方法で手配をしないと賠償金問題に発展することがあります。JASRACなどの著作権管理団体と契約する方法もありますが、有線サービスや著作権フリーであるBGMなど、種類も様々ですので、店舗にあった手段やジャンルを選択しましょう。

この記事を書いた人レスコートマガジン編集部

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